物心ついた頃には我が家既にキクロンしかなく、私はキクロンのスポンジしか知りませんでした。しかしお手伝いをする歳になり、親戚宅で洗い物をしたとき「いやなにこれ柔らかい気持ち悪いっ!」という感覚は未だに忘れられません。それは今でも変わらない感覚です。ふにゃふにゃスポンジだと汚れが落ちてない気がするし、雑菌が一杯しみ込んでいる気がして(個人の感想です!)他メーカーのスポンジは苦手です。
そんな我が家ですから「キクロンA」スポンジは買い置きしています。先日、スポンジの補充のために薬局を訪れたところ「キクロン」さんの新商品を発見。なんとフッ素加工の鍋などを洗えるという新素材のスポンジと書いてありました。購入。
というわけで私の愛する食器洗いスポンジ「キクロンA」さんと新商品「クリナート」をご紹介します。
たわしの歴史
何か物を洗うとき、昔は藁や縄を丸めた物を使っていたそうです。しかし明治40年、長西尾正左衛門氏の発明した棕櫚(しゅろ)を針金で束ねたデザイン「亀の子たわし」発明して販売すると、あっという間に「たわし」が一般家庭に普及しました。その素材は「棕櫚(しゅろ)」に始まり、今では「ヤシの繊維」が主流となっています。
日本原産の棕櫚「ワジュロ」
「しゅろ」は広辞苑によると「ヤシ科シュロ属の常緑高木の総称。特に、日本原産のワジュロをいう。」との記載がありました。日本原産の「ワジュロ」は耐寒性が強く、東北地方まで自生しているそうですが、一番多く自生しているのは四国だそうです。
そんな「ワジュロ」ですが、「たわし」登場に合わせて需要が高まったものの、国内産のワジュロではその需要に対応しきれず、原料不足になってしまいます。そんな中、中国産の棕櫚「トウシュロ」や安価な椰子の実の繊維(パーム)が代用で使われ始め「ワジュロ」を取り巻く環境が変化し始めます。更に日本が高度経済成長期に入り、電気掃除機やナイロン製品の普及で、棕櫚製のたわしや箒の需要が低迷するに至りました。現在では、ワジュロ製のたわしやブラシ、箒は貴重品になっています。
棕櫚の現状について参考にさせていただきました。職人さんのインタビューも読めて面白かったです。私は棕櫚の箒が欲しくなりました。
「棕櫚(しゅろ)」を知っていますか? ~野上谷の棕櫚を訪ねて~
ヤシ科シュロ属の常緑高木の総称であり、日本の南九州が原産で日本国内の暖地に植栽されています。(日本原産のワジュロに対して中国原産はトウジュロという。)鳥が棕櫚の実を食べてその実をばらまくので和歌山や四国にも自生し、耐寒性も強いため、北は東北地方にまで栽培されています。木はまっすぐに伸び、幹の高さは5~6メートル、幹の高い部分からは手の平の形をした葉がたくさん伸びていて、街路樹などに多く植栽され、南国的な雰囲気を漂わせます。英語で棕櫚はpalmこの語源は、ラテン語のpalma(手の平)つまり、葉の形が手の平と似ていることに由来します。他にpalmの意味としては、勝利の象徴としてのシュロの葉、栄誉、勝利、成功などの意味があります。古代オリンピック競技においても、優勝者には一枝のシュロが授与されたので、この木は勝利の栄冠の意味にも用いられるようになりました。また、棕櫚は10月5日の誕生花であり、花言葉も「勝利」とされています。
後略
http://www.wsk.or.jp/report/yamashita/01.html
シュロのアイテム。
キクロン株式会社
「たわし」や「棕櫚」についての勉強が済んだので、キクロンAを作っているキクロン株式会社のことを調べました。キクロンさんは昭和23年に創業した「菊たわし製造所」というしゅろで作ったたわしを作っていた会社からスタートしていました。
詳しく知りたい人はキクロン公式サイトへ。
キクロンA誕生秘話
今では私のような「キクロン」信者は大勢いるでしょうが、「キクロンA」がヒットするまではかなり大変だったようです。その秘話が公開されていたのでご紹介。
独自の製品を開発
当時は「たわし」全盛時代で、和歌山の地場産業でした。菊たわし製造所(現キクロン株式会社)もたわしを作って販売していました。しかし創業者の児玉勲氏は「同じ物ばかりで面白くない」と考えたそうで「キクロン」を開発し、販売し始めたそうです。
たわしの三倍の値段
当時のたわしは30円だったそうです。しかしキクロンは90円。高い。やはり売れ行きは芳しくなかったそうです。三倍の値段ですから厳しかったでしょうね。私でも買わなかったと思います。しかし商品に絶対的な自信があった児玉氏は、得意先のキッチンで洗ってみせたり、電車の中でサンプルを配ったりと必死にセールス活動をなさったそうです。
謎の絵描き登場
現在販売されているキクロンAの商品パッケージに印刷されているトレードマークである白人女性のイラストは、最初からあったものではありませんでした。
キクロンの販売開始から2、3年後、「売り上げを三倍にするイラストを描く自信がある」という絵描きが会社に来たというのです。この人物については詳細がわかりません。だから謎の絵描きとしましたが、この謎の絵描きが書いたのが、あの「異国婦人」だったのです。
全く知りませんでした。でも、謎の絵描きは何者なのかとても気になります。キクロンさんのページにも「絵描き」としか書いてないんですよ。謎です。っていうか、そんな人に社運を任せた児玉社長が凄い。
キクロンはキクロンAに
私はずっとキクロンAの「A」は何なのさと思っていたのですが、新しい商品パッケージに変更するにあたり「キクロン」は「キクロンA」になったそうです。長年の疑問が氷塊しました。
しかし何故「A」なのかは不明です。ひょっとして洗濯用スポンジ界のエース(A)になるべく、「A」を付けたとか?それとも謎の絵描きのイニシャルが「A」とか?色々考えましたが、どうなんでしょうね?
売り上げは三倍どころか何百倍に
謎の絵描きによるイラストパッケージに変え、更に品質重視で値段を下げる等せずに頑張った結果、「キクロンA」はあっという間に大ヒットしたそうです。今では知らない人はいませんよね。凄い事です。
キクロンAの秘話はイラスト付きでもっと簡単に読めるページがあります。興味のある人はキクロン公式ページへ。
我が家で活躍中のキクロン商品
キクロンAは常備品なので、常に買い置きが有り、我が家では取り替える時には違う色にして、古いものはシンク内を洗うものへと格下げにして使い切っています。
キクロンA
というわけで、愛するキクロンA。恥ずかしながら今回初めて気付いたのですが、スポンジには銀糸抗菌剤が練り込まれた抗菌仕様だったんですね。あと研磨剤粉が含まれていたとは。おろしたばかりの時に鉄鍋を擦るとピカピカになるんですよ。どうりで落ちるわけです。
キクロンAは不良品だと返品できます。凄いのが返品送料を添えて取り替えてくれるところ。実際に返品交換なんてしたことないですけど、自信がないと出来ないことですね。
日本製です。
袋から出しました。不織布部分に白いものが付いていますが使っていると消えます。
スポンジ面。このスポンジがまあへたらないへたらない。固すぎるくらいです。ぶっちゃけあまりの弾力に洗い物中にその反動で食器を何度も割っています(ダメじゃんw)でもそれはあくまでも私の不注意。このコシがないとダメなんです!これじゃなきゃ嫌なんですよ〜。
スポンジ面と不織布の接着具合。がっちりですね。剥がれる事はないでしょう。っていうか剥がれた事ないです。
今更感想を言うのもアレなんですが、何せへたれないスポンジです。一ヶ月以上余裕です。衛生的に一ヶ月ほどで取り替えた方が良いのでしょうが、うちは2ヶ月近く使っていることもあります。それくらいへたれず、汚れが沈着しにくいのです。100円ショップ等でもスポンジは売っていますが、長持ちする事を考えると結局キクロンAを使った方がコストダウンになると思います。使った事が無い方は是非使ってみてほしいです。
クリナート
我が家で騒然となった新商品。煮炊きはステンレス製鍋使用が主である我が家ですが、毎日使うフライパンはアサヒ軽金属のオールパンや炊飯器の内釜、卵焼き器などはフッ素加工のテフロンです。
テフロンはこびり付いた汚れを落とすために水につけて汚れをふやかして落とすのが鉄則ですが、次の料理にも使いたい時や急いでいる時にはさっと擦りたくなります。しかしテフロンが剥げるためやってはいけません。でもお湯を注ぎ入れてスポンジ面で無理矢理擦る事もしばしば(やっちゃダメですよw)
そんな私を助けるために作ってくれたのかと思うような「テフロン」加工の鍋を洗う事に特化したスポンジがキクロンさんから発売されました。それがこちら。「クリナートスポンジ」です。
もちろん日本製。
そしてこちらも返品交換してくれます。送料も返してくれます。
で、この新商品の特徴なのですが、新素材クリナートというものが使われており、起毛になっています。この起毛が傷を付けずに汚れを落としてくれるのです。
商品パッケージの側面に使える素材が記載されています。せとものやIH調理器、フッ素加工品やガラスに最適とされています。でも鉄製のフライパンやまな板やざるも洗えます。
袋から出しました。キクロンAと違って可愛いです。私はお花柄にしましたが他にも色違い、柄違いがありますよ。
スポンジ面です。こっちは平らになっていますね。
スポンジ面と新素材クリナートの接着部分です。確かにふんわりとした起毛が見えます。
さて、商品の紹介が済んだところで使用してみた感想です。テフロンに傷はつきませんでした!急いでいる時、お湯を入れて擦るとさっと汚れが取れます。今までスポンジで力を入れて擦っていたのですが、力は不要です。これはもうリピート決定になりました。
スリムフィット
細長いコップを洗うのに良いかなと思って買ったキクロンの「スリムフィット」です。
でもリピートは無し。私には外れでした。柔らか過ぎてダメだったのです。ただし細長いコップをよく洗う人達には人気のスポンジです。一度試してみるのも良いでしょう。
がっちりマンデー放送(2018/7/22 追記)
今日の放送「がっちりマンデー(TBS)」の「とにかくたくさん作る! 売る!新企画「意外な”億”ヒット」でキクロンが取り上げられていました。やはり我が家のように根強いファンが居るんだと思って嬉しくなりました。
そして私が惚れ込んでいるキクロンAスポンジの頑丈さを証明する実験が行われていました。5個100円のスポンジと1個およそ200円のキクロンAスポンジで「引っぱりテスト」をしたのです。
ご覧の通り、キクロンAのスポンジは5個100円の2倍の耐久性があります。流石!これからも使い続けますよ〜!
最後にひとこと
キクロンさんには何十年と世話になっているにも関わらず、私はCMを見たほぼ記憶がありません。商品に自信があり、CMをせずとも大丈夫なのでしょう。でもその分知らない商品が一杯ありました。きっと私が薬局で見るのがキッチンスポンジコーナーのみのせいでしょうね。でも今回キクロンさんのHPに行ったら、他にも沢山種類がありました。細長いタイプで、食器の隅を洗えるキクロンなんて見た事もありませんでした。これは少し損した気分です。
お気に入りの商品のあるメーカーさんがある時は、HPに行って他の商品を知る努力をした方が良いですね。何にしても私はキクロンさんに一生ついていきます。まだ使った事が無い方は一度お試しください。