外で水やお茶を買わなくなって10年以上経ちます。大きなサイズだと到底飲みきれないので、ずっと象印の200mlのマグボトルを使っています。でも最近、母も使うようになったので、これを機に、現時点で一番軽いタイガーのステンレスミニボトル「サハラマグ」MMP-G020を購入。中国製です。
小さくて軽い水筒がいい
最近の日本の夏は、マメに水分をとらないと熱中症の危険性があるほど。それでも水分をたくさん取るのが苦手な上、重い荷物が嫌な私のマイボトルは、象印のタイ製の200mlサイズのマグボトル。型番はSM-EA20-PEです。買った当時は一番軽くて小さかったと思います。
でもこの夏、持っていこうとしたら既に持って行かれていることがありました。犯人は母。こんにゃろ。今までは500mlのペットボトルを持ち歩いていたのに「絶対全部飲みきれないし、重いし」とのこと。なので、今回母に同じ200mlサイズのボトルをプレゼントすることにしました。
魔法瓶の歴史
今では当たり前にある「魔法瓶」のその歴史について少し調べました。
ドイツ生まれのサーモス
中の飲み物の温度をキープできる、いわゆる「魔法瓶」が発明されたのは1904年のこと。冷却用のボトルを発明したイギリスのデュワー氏の元にいたラインホルト・ブルガー氏が考案し、ドイツのテルモス社が製造し「Thermos(ドイツ読み/テルモス)」という名前で売られるようになりました。
ちなみに「Thermos(テルモス)」の意味は、ギリシャ語で「熱」で、「サーモス」は英語読みです。
日本への輸入
中の液体の温度をキープできる容器は瞬く間に世界中に広まり、日本には明治42年(1909年)に輸入されました。しばらくの後、日本のメーカーもこぞって「サーモス」を作るようになりました。
「魔法瓶」という名称の由来
物心がつく頃には何の疑問もなく「魔法瓶」と呼んでいました。ただ、中の温度が保てる「魔法のような入れ物」ということは子供でも思いつくので、普通に「魔法瓶」と受けれいていました。しかし「魔法瓶」と呼ばれ、定着するには何らかのきっかけがあるはず。というわけで「魔法瓶」という名称の由来を調べました。
wikipeda情報には、新聞取材を受けた狩人が「サーモス」を「魔法瓶」と答え、それが新聞記事となって一気に広まったという説や「アラジンと魔法のランプ」に由来するアラジン社と関連するという説が記載されています。
ソースが一つあります。長年謎だった「魔法瓶」という名前の由来について、その謎が解明されたという記事が、2013年6月3日発行の大阪日日新聞で出されていました。
魔法瓶名前の由来は「勘違い」 新たな史料を発見
これまで命名者や名前の由来が明らかになっていなかった「魔法瓶」。“魔法使い”、“摩訶(まか)不思議”など語源は諸説あるが、いずれも決定的な証拠がなく、業界でも統一されていなかった。しかし、大阪市北区天満1丁目のまほうびん記念館の関係者が新たな史料を発見し、真実を特定。どうやら、魔法瓶の由来は命名者の「勘違い」から生まれたようだ。
100年以上前の魔法瓶など貴重な資料が並ぶ企画展=大阪市北区天満1丁目のまほうびん記念館
この謎を解く手掛かりとなるのが、同館で開催中の企画展「まほうびん(魔法瓶)の名付け親は誰だ?」。
これまで命名者、由来は、飯島魁東京帝国大学教授の発言「摩訶不思議な瓶、魔法瓶」、伊藤喜商店創業者の伊藤喜善之助の命名、船舶商品の憧れからきた「魔法使いの瓶、魔法瓶」など諸説あった。
しかし、このたび決定的な証拠をつかみ、真相を突き止めたのが、同館初代館長の粟津重光さん(65)。退館後も独自に調査を進め、魔法瓶に関する最古の記述と思われる1907年10月22日付の新聞記事を発見した。
記事は、ある人物が狩猟について語ったもの。便利な道具として、当時輸入されて間もない魔法瓶に触れ、「イソップ物語に出てくる魔法瓶(マジックボトル)」を引き合いに出して、その性能の高さを紹介している。魔法瓶最古の広告でもこの発言が用いられ、命名者であると断定された。
ただ、イソップ物語に魔法瓶が登場する場面はないとされ、2代目館長の山口己年男さん(60)は「(ある人物の)勘違いだったのでは」と推測する。しかし、真実が判明したことで「魔法瓶という言葉が消えつつあり、命名者などが特定されたことで、再び目を向けてもらうきっかけになれば。業界でも見解を共有したい」と話す。
同企画展は、そうした史実の発見と開館5周年を記念し、11月29日まで開催。戦前~明治時代にかけての新聞記事や広告などの資料が展示されており、「ある人物」は誰なのか、自分の目で確かめてみてはいかがだろう。大阪日日新聞:2013年6月2日
https://web.archive.org/web/20130611213039/http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/130602/20130602026.html
「魔法瓶」の名前の由来がわかったことより、「魔法瓶」という言葉が消えつつあるという記述が気になります。言葉としてとても可愛いのに。消えないように私はあえて「魔法瓶」という言葉を使い続けたい。
日本で生まれた世界初のステンレス製魔法瓶
魔法瓶といえばガラス製ですが、衝撃に弱く、耐久性に欠けます。しかしその問題をクリアする画期的ステンレス製の魔法瓶が1978年に登場しました。発明したのは、日本酸素(現在の太陽日酸)です。
外国から入ってきた製品を研究でさらに高める。日本企業の真骨頂ですね。
日本の技術が世界初を実現
ガラス製魔法びんは、ボトル本体を真ちゅうなどの金属やプラスチックのケースに入れて持ち運びを容易にしていましたが、本体の素材がガラスである以上、強い衝撃が加われば割れてしまうことは防げませんでした。
https://www.thermos.jp/company/history/history_05.html
その真空ボトルをステンレスで実現したのが、工業ガスメーカーの日本酸素でした。非常に難しいとされていた高真空の金属製魔法びんを、長年培ってきた高度な真空断熱技術や金属加工技術・溶接技術を結集して、1978年に高真空ステンレス製魔法びん、いわゆるステンレスボトルを世に出しました。それが「アクト・ステンレスポット」です。
ステンレス製になれば持ち歩きが容易になります。その後は子供向けの小さな「シャトルミニ(日本酸素)」が販売されるなど、魔法瓶は生活の中にあって当たり前の必需品となっていきました。
日本酸素がサーモスを買収
しかしステンレス製の魔法瓶を開発した日本酸素の魔法瓶は、売れ行きで象印やタイガーに負けていました。確かに私もこうして記事にしたからこそ知ることができたくらいで、知名度はとても低かったのだと思います。
せっかく世界初のステンレス製魔法瓶を発明したのに、それでも業界一位になれない。それは当時、販売ルートの問題があったとその回復劇に触れた書籍があります。
この本によると日酸サーモは既に販売ルートを確保しているサーモスを買収し、サーモス株式会社と名を変え、販路を確保し、魔法瓶シェア世界トップを取るほどに上り詰めました。
大阪の地場産業
魔法瓶製造会社は大阪に集中しており、今では「地場産業」となっています。実際、象印もタイガーも、そしてドイツ生まれのサーモスを買収した太陽日酸も大阪に本社があります。当時から部品製造の会社が大阪に集中していたことが大きな理由だそうです。日本国内で多くの部品を作っているのはとても嬉しいですね。
タイガー 無重力ボトル サハラマグ MMP-G020
200mlで軽いもの。というわけでサーモスに200mlサイズが無いので予選落ち。で、私と同じ象印かタイガーがとなるわけですが、母が選んだのはタイガーでした。
理由は「無重力ボトル」というとても軽い容器であったこと、中がステンレスがいいという母の希望です。でもタイガーのサハラマグは中国製。私なら選ばない。一応母に「中国製だけどいいの?」と確認したのですが「タイガーだから大丈夫でしょ」とのこと。確かにどこの馬の骨ともわからない企業ではなく、日本の老舗メーカーですから、製品管理はしっかりしているでしょう。では早速写真。タイガーのサハラマグ。色はクールホワイトです。
中には説明書と本体。
本体。シンプルで可愛い。いいなあ。
底に型番と生産国のシール。製造国は中国。
部品は三つ。本体と蓋、そして蓋についているパッキンは外せます。洗えるからいいと母は喜んでいます。
個人的に一番重要な点重さ。約110gとパッケージには記載されているのに、測ってみると116g。四捨五入で110gとは言えないからこれってどうなのかと少し疑問。うちの測りが壊れてるのかしら?まあ私の象印のミニボトルよりは軽いけどねぇ。約表記で書かずに116gと書けばいいのに。
使用上の注意
どんなものにも説明書が付いており、一度は読んでおきましょう。サハラマグでやってはいけない主なことを挙げておきます。
使ってみた感想
「白くて可愛いし軽い〜」と母が喜んでいます。確かに私のボトルより可愛いし軽いので羨ましい。象印のはちょっと飽きてるんですよねえ。でも壊れてないし使えるから買い替えはまだ先かなあ。でも新しい方が軽くなってるんです。しかも蓋も分解して洗えるように進化していて清潔にできるから欲しい。
購入したものの、タイガーのサハラマグは気になる点が2つありました。それは口コミにあった「漏れ」問題。でも実物を触って思ったのは、漏れの原因は外れるパッキンをしっかり装着できていないことがあるのでは?ということ。というのも、外したパッキンの装着が若干難しかったから。なので洗った後、しっかりパッキンを装着することが肝要だと思います。
それといくら小さくてもバッグに入れるときは横向けではなくなるべく縦に入れて予防することも大切ではないでしょうか。実際、説明書にもバッグには「立てて」入れてくださいとありました。
もちろん「漏れないことは基本」ですが、不測の事態に備えて注意するにこしたことはない。使い方に問題ありなこともあるので、商品に完璧を求めるのはやめましょう。
タイガーVS象印
私が象印のミニボトルを使用しているので、個人的な両者の比較した上での判定。
パッキン装着の煩わしさのない象印のミニボトルの方が使いやすく感じました。それに中国製ではなくタイ製だし。でも母は洗えるし軽いからいいと気にしていません。それも正しい。
私のものは古いので蓋を分解して洗えません。でも新しい象印のミニボトルは蓋も分解して洗えます。これは素直に羨ましい。というわけで、私が買い換えるなら象印。
プレゼントしてから、母が外出するときに常に持って行くようになりご機嫌です。高齢になると重い荷物は単純に辛いので、丁度良いサイズのボトルだと思います。それに口コミではウォーキングの時に持って行くのにも良いサイズと好評なので、友人知人へのちょっとしたプレゼントにしても良さそう。
金属製の水筒、やかんなどの注意点
金属容器に飲み物を入れて「金属中毒」が起きたという事例があります。情報として知っておくと良いのでとりあげておきます。
水筒ややかんに酸性の飲料を長時間保管したことによる、銅の金属中毒が報告されています。
水筒の事例では、水筒の内部が破損し、通常は飲料に接しない二重構造の内部に酸性の飲料が染み込み、保温構造に使われていた銅が溶出していました。
やかんの事例では、古くなったやかんの内側が黒色に変色し、金属の一部は腐食していました。この部分に水道水に微量に含まれる銅が付着し、蓄積されていました。
銅を過剰摂取すると中毒を起こし、頭痛、めまい、吐き気などの症状を呈します。
銅が溶けた液体は、苦みや金属味を感じます。
金属の容器に入れた酸性飲料の味が変だと感じたら飲むのを止め、容器は交換しましょう。徳島県消費者情報センターより
https://www.pref.tokushima.lg.jp/shohi/merumaga/2013082200013
この事例は金属成分を含む水道水を長時間にわたって古く傷んでいるやかんに入れていた事例です。でも最近、塩分を含むスポーツドリンク(ポカリスウェットやアクエリアス等)も酸性の飲み物で注意した方がいいと取り上げられていたこともあります。ソースはこちら。
「金属製の水筒にスポドリ、絶対NG」って本当? 研究機関、メーカーに聞くと…
前略
大塚製薬(東京都千代田区)の広報担当者は、金属製の水筒にポカリスエットを入れて良いかどうかについて、
「ポカリスエットは塩分を含んだ酸性の液体です。長時間金属にふれていると、金属をサビさせたり、酸の影響で容器から金属が溶け出してポカリスエットの風味が低下したり、容器をいためてしまうことも考えられます」
として、「できれば避けて頂ければ」と回答。ただ、中毒の恐れがある点については言及しなかった。
また、水筒メーカーの象印マホービン(大阪市)の担当者は、「近年発売した弊社のステンレスマグは、すべて内部にフッ素加工を施しています」と説明。その上で、
「なかでも、フッ素加工を2倍にしたものを『スポーツドリンク対応』というカテゴリで販売しています。基本的には、使用後にすぐに洗って頂ければ、通常のフッ素加工製品にスポーツドリンクを入れることは問題ないと認識しています」
と話していた。
そのほか、タイガー魔法瓶(大阪府門真市)公式サイトのQ&Aページでも、ステンレスマグで「(スポーツドリンクは)ご使用いただけます」と明言。ただ、「ステンレスが腐食する可能性がありますので、使用後はすぐに お手入れをしてください」としていた。J-CASTニュース: 2018/8/ 3 07:00
https://www.j-cast.com/2018/08/03335178.html
メーカーは「できれば避けて」と回答していますが、リスク回避のためでしょう。注意すべき点は、内部が剥がれるほど劣化しているものを使い続けることが問題です。消費者は自分の使い方にもよくよく注意するべきでしょう。
最後にひとこと
お水をたくさん飲める人もいますが、たくさん飲むのが苦手な人、軽い方がいい人もいます。メーカーは小さくて軽いボトルをもっと追求してほしいな。