佐賀県の業者「天三水産(てんざんすいさん)」が中国産や韓国産あさりを「熊本県産あさり」に偽装して販売し、利益を貪っていました。産地偽装は罰則を重くするべき。
中国産・韓国産あさりを熊本県産に偽装
まずはソースをどうぞ。
アサリ産地偽装か業者を行政指導
韓国などから輸入されたアサリを「熊本県産」と偽って表示し、県外の業者に販売したとして、佐賀県は小城市にある水産物の販売会社に対し、適正な表示をするよう行政指導しました。
アサリの産地を偽装していたのは、小城市小城町畑田にある水産物販売会社「天三水産」です。
ことし9月、熊本県から情報提供があり、佐賀県が立ち入り検査を行ったところ、仕入れ先から韓国産や中国産と伝えられていた輸入アサリを、熊本県産と偽って表示し、千葉県や神奈川県など全国7県の業者に販売していたことがわかりました。
県の検査では、産地を偽装して販売したアサリは、記録が残っていたことし10月の1か月間だけで646トン余りにのぼります。
また、10月より前の販売記録はすでに破棄されていましたが、県によりますと、この会社は調べに対して、ことし2月から偽装を行っていたことを認め「輸入アサリは販売先が見つからず、国産と偽装することを思いついた。悪いことだとわかっていた」などと話しているということです。
佐賀県は食品表示法に違反するとして、27日付けで行政指導を行い、適正な表示をすることや来月17日までに再発防止策を報告することなどを指示しました。NHK NEWS WEB:12月27日 17時05分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20191227/5080004763.html
ソースをもうひとつ。
輸入アサリを熊本県産と偽装 「販売先見つからず」
韓国や中国産のアサリを「熊本県産」と偽装して販売したとして、佐賀県は27日、同県小城市の水産卸売会社「天三(てんざん)水産」(三宮孝司社長)を食品表示法に基づいて是正を指示する行政指導をしたと発表した。
県生活衛生課によると、天三水産は少なくとも10月1~31日、熊本県の水産会社から韓国産、中国産として仕入れた生鮮アサリ計約647トンを、納品書に「熊本県産」と表記し、1キロ300~400円で販売したとされる。販売先は千葉、神奈川、愛知、三重、山口、福岡、熊本の7県の24業者にのぼるという。県はアサリは販売先を通じて市場に出回ったとみている。
天三水産は今年2月12日に設立。県によると、三宮社長は「悪いことだとは知っていたが、輸入アサリの販売先が見つからず、国産にした。2月から偽装をして毎月同じ量を販売した」などと話しているという。以下有料記事
朝日新聞: 2019年12月27日21時32分
https://www.asahi.com/articles/ASMDW4J2XMDWTTHB00D.html
仕入れて販売先がなけりゃすぐに廃棄しろよ。
偽装あさり専門会社「天三水産」
今回あさりの偽装販売を行っていたのは、2019年2月にできたばかりの「天三水産(てんざんすいさん)」で、社長は三宮孝司です。
記事の中にあった三宮社長の「悪いことだとは知っていたが、輸入アサリの販売先が見つからず、国産にした。2月から偽装をして毎月同じ量を販売した」という発言から、偽装あさりを売るためだけに作った会社で間違いないでしょう。
毎月約650トンの偽装あさりを売りさばく
「天三水産」に残っていた納品書によると、10月の1月だけで中国産、韓国産あさり約647トンを「熊本県産あさり」として売りさばいています。
毎月ほぼ同じ量を売りさばいていたということから、単純計算で2月から発覚した12月までの11ヶ月間で7117トンも中国産、韓国産を売っていたことになります。ありえない。信じられません。
7県24業者が被害
「天三水産」に熊本県あさりだと言って売りつけられていたのは、千葉、神奈川、愛知、三重、山口、福岡、熊本にある24業者です。これは怒りしかありませんね。
需要のないものを仕入れて売りさばく悪質さ
約7000トン以上の中国産、韓国産あさりを「熊本県産あさり」として売った理由は、「販売先がなかった」からです。
中国や韓国の食品は不衛生だったり、有害な物質が含まれて居ることもあることが知れ渡っている今、あえて買う人はいない。おそらく「天三水産」の三宮社長自身もそうだったのでは?
にもかかわらずそれを仕入れても販売してくれる会社が見つからないと
ぬるい罰則
今回の報道を見てまず思ったのは、これだけの大規模な偽装をしている業者に対する罰則がぬるいことです。
NHKのニュースソースによると、発覚した佐賀県が2019年12月27日付で行政指導、適正表示を求め、2020年1月17日までに再発防止策を提示するように求めているだけです。
佐賀県の行政指導
行政指導の詳しい内容を知りたくて調べたら、佐賀県の行った指導のpdfファイル公開されていました。
生鮮アサリの原産地に関する不適正表示について食品表示法に基づく指示を行いました
県では、熊本県からの情報提供を受け、県内の事業者が販売していた生鮮アサリの表示について食品表示法(平成25年法律第70号。以下「法」という。)第8条第1項の規定に基づく立入検査を行った結果、法第4条第1項の規定に基づき定められた食品表示基準(平成27年内閣府令第10号。以下「基準」という。)第18条第1項の規定に違反していることを確認しました。
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00372391/index.html
このため、本日(12月27日)、当該事業者に対して法第6条第1項の規定に基づき下記のとおり指示を行いました。
記
1 対象事業者の氏名及び住所
氏名 天三水産株式会社 代表取締役 三宮孝司(以下「天三水産」という。)
住所 佐賀県小城市小城町畑田2467番地4 コンフォート弐番館202号
2 経緯
令和元年9月20日、熊本県から県に対し、輸入アサリの流通先に関する情報提供があり、令和元年11月6日から令和元年12月24日にかけて、立入検査を実施し、以下の事実を確認しました。
(1)天三水産は、生鮮アサリの原産地について、仕入先から韓国産及び中国産と伝達をうけていたにもかかわらず、熊本県産と事実と異なる表示をし、少なくとも令和元年10月1日から10月31日までの間、646,760kgを県外の水産会社に販売したこと。
3 違反事項
仕入先である熊本県の業者から原産地を「中国産」又は「韓国産」と伝達された生鮮アサリについて、帳票類を「熊本県産」と書き換えて販売したこと。(基準第18条第1項の表の「原産地」の項の規定に違反。)
4 指示の内容
(1)貴社が販売しているすべての食品について、直ちに表示の点検を行い、不適正な表示の食品については、速やかに、基準に従って適正な表示に是正した上で販売すること。
(2)貴社が販売した食品について、基準で定められた遵守事項が遵守されていなかった主たる原因として、貴社において、消費者に対し正しい表示を行うという意識及び食品表示に関する認識の著しい欠如並びに表示内容の確認とその管理体制に不備があると考えざるを得ないことから、これを含めた原因の究明・分析を徹底すること。
(3)(2)の結果を踏まえ、貴社における食品表示に関する責任の所在を明確にし、社内における品質表示のチェック体制の強化、拡充等の再発防止対策を実施するとともに、当該対策によるチェック体制等が有効に機能していることを定期的に検証し、必要な改善を行うこと。これにより、今後、貴社が販売する食品について、基準に違反する表示を行わないこと。
(4)貴社の全役員及び従業員に対して、食品表示制度についての啓発を行い、その遵守を徹底すること。
(5)(1)から(4)までに基づき講じた措置について、令和2年1月17日までに佐賀県知事あて提出すること。
5 今後の対応
対象事業者が当該指示にかかる措置をとらない場合は、法第6条第5項に基づき、その指示にかかる措置をとるよう命令を行います。
なんでしょうね?このぬるさは。「適正な表示をしてね」「どうしてこうなったか調べてね」「もうあなたの会社でこんなことしちゃダメだよ」「社員、従業員にも守らせてね」「四つのお願いどうしたか佐賀県知事に教えてね」ってふざけてるのか。
もちろん「産地偽装」にも罰則あります。それは偽装が発覚したあとの行政指導を無視するなどした場合は食品表示法の「第六章の第二十条」に「第六条第五項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 」という内容です。
これはもうぶっちゃけ「もう偽装しないよ」と言ってしまえば罰則を免れることができるということです。これってどうなのでしょう。今回の「天三水産」は売れないとわかっているものを仕入れて偽って販売しているのだから、行政指導なんてすっとばしていいのでは?悪質すぎます。
偽装あさりを販売するためだけの専門会社を作ってまで売っていた。これは消費者への裏切りだけでなく、「詐欺事件」として扱うのが適切では?
このぬるさが、食品の産地偽装がなくならない一番の理由ではないでしょうか?「もうやらないよ」と言えば済むならちょっとのリスクが平気な人ならいくらでもやるよ。
熊本県産あさりは悪くない
このニュースを見た人はごく一部ですが「熊本県産あさりはもう買わない!!」と激怒していました。しかし「熊本県産あさり」は悪くありません。
悪いのは、佐賀県の小城市に本社を置く「天三水産」です。NHKの朝の連続テレビ小説「おしん」が放送された際にはおしんを流産させるほどの壮絶な嫁いびりに「佐賀県にだけは嫁ぐな」と言われるなど大きな影響が出てしまったのに、今回のこの大きなあさり産地偽装事件で「佐賀県の会社は信用するな」と言われますよ。というかもう私は信用できない。
佐賀県は本気で対処するべき。
最後にひとこと
偽装販売の罰則はもっと重くするべきです。それに尽きる。