以前、カシミヤ製品は偽物が多く流通しているとTVメディアで取り上げられていました。そこでカシミヤ製品について調べつつ、明治20年に創業した歴史のある深喜毛織のカシミヤマフラーを買いました。
深刻な偽カシミヤ製品問題
カシミヤの偽物についてのソースをどうぞ。
衣料品素材の「カシミヤ」を巡る不当表示が後を絶たない。消費者庁は6月26日、カシミヤ使用をうたうストールを販売していた通販事業者18社に対し、家庭用品品質表示法と景品表示法に基づく指示・指導を下した。事業者が購入者に不当表示を周知し、返金対応を行っているため社名は公表していない。ただ、「悪質な事業者や、(返金対応等の)報告が嘘であった場合には措置命令の必要が生じる」として、厳正に対処する。
消費者庁では、カシミヤに関する不当表示が続く中、迅速な対応が可能な家庭用品品質表示法(家表法)の適用と、定期的な監視活動により不当表示に対応していく。
今回、処分を受けたのは、通販サイトでカシミヤ製をうたうストールを販売していた18事業者。縫付けラベルや下げ札における「カシミヤ100%」「カシミヤ70% シルク30%」などの表示、ウェブサイトにおける「思わず触りたくなる!カシミヤ100%のストール」などの表示が対象になった。いずれも実際に使っていたのは、アクリルやレーヨン、羊毛、もしくは、これら繊維素材の混用だった。
中略
「カシミヤ」の表示を巡っては、これまで多くの事業者が処分されているが、不当表示がなくなっていない。07年以降、把握できているだけで、処分は6事案26社(東京都の指示、公正取引委員会の排除命令を含む)。消費者庁は、仕入れ事業者に検査証明書の提出を求めることが望ましいとしているが、過去には、事業者が虚偽の検査証明書を信じたとして不当表示に至った例もある。
後略
通販新聞:2014年7月3日11:21(リンク切れです)
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2014/07/18-1.html
テレビ朝日で取り上げた動画もありました。この動画の中では羊毛100%にもかかわらず、カシミア製品として売られていた事例を挙げています。
別ソースをもう一つ。
【ファッション×法律】そのカシミアは本物?ファッション業界の「素材偽装」と法律のカンケイ
前略
少し前に、デパートやセレクトショップ、有名ブランドのセカンドラインなどで販売されていたセーターやストールなどについて、「素材偽装」が大きな問題になった。特に偽装が多かったのは、カシミアだ。何と、カシミアの流通量は生産量の約4倍。単純計算では、「カシミア」とされている商品の4分の3は偽物だ、ということになる。
後略
ファッションプレス: 2014-03-01 21:35 更新
https://www.fashion-press.net/news/9960
生産量と流通量の違いは歴然です。これは以前取り上げた羽毛布団偽装と同じですね。明らかに偽物がたくさん流通していることになります。
カシミヤとは
カシミヤとは「カシミヤ(cashimere)(カシミール地方産のヤギに由来)カシミヤ糸で織った毛織物。柔らかくて保温性がよく、最高級の織物とされる。手織りで、勾玉(まがたま)形の植物文様を織り出す。19世紀ヨーロッパでショールとして流行。カシミア。」であると広辞苑に記載されていました。
ちなみにカシミヤヤギは、インドのカシミール、チベット原産のヤギの一品種です。
製品価値を左右するカシミヤ糸の質
カシミヤ製品の品質や価格差について、2014年にブルームバーグが取り上げていました。
ソースはこちら。
カシミヤ製品の価格の謎、2,000ドルの高級品もあれば30ドルの格安品も
カシミヤ製品について触れた記事があったので参考にしました。
シンプルだが細心の注意を払って作られた最高級カシミヤのセーターは、ロロ・ピアーナなどの一流ファッションブランドでは2000ドル(約21万6000円)以上するが、ユニクロの値引きコーナーでカシミヤ100%のセーターをわずか29ドル90セントで手に入れることもできる。
ヤギの一種の被毛から作られるカシミヤは、かつては富裕層の流行に敏感な人々のためだけのものだった。ところがここ20年間にカシミヤ人気は急上昇し、より安価な衣料品が市場に出回っている。
国連の貿易データによると、2016年のカシミヤ衣料品の輸出額は世界全体でほぼ14億ドルと、10年の12億ドルから増加。今では至る所でさまざまな価格で売られているようだが、特に歴史的に高級品として販売されてきたカシミヤにとって、普及する中でありふれたものになってしまったのは問題かもしれない。後略
ブルームバーグ: 2018年4月24日 7:01 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-23/P7MEZ16TTDSA01
この記事内で槍玉に挙げられたユニクロはこの指摘についての取材を受けており「原料調達から生産、管理、販売まで一環して行っているために低価格を実現できている」という回答をしています。ソースはこちら。
カシミヤセーターが安すぎると噛みつかれた?ユニクロの言い分
ブルームバーグが『最高級品2000ドル、ユニクロなら29ドル カシミヤ大衆化進み二極化』という見出しで記事を配信した。書き出しは「シンプルだが細心の注意を払って作られた最高級のカシミヤセーターの価格は、ユニクロの値引きコーナーでカシミヤ100%のセーターをわずか29ドル90セントで入手することもできる」。
中略
「当社のカシミヤ商品は、カシミヤ100%とカシミヤ混の商品がある。カシミヤ100%の(セーター)商品は79・9ドルで販売している。この価格も商品企画から原料調達・生産・管理・販売まで自社の一貫体制を執ることで、効率的に対応している結果実現しえている買い得価格。29ドル90セントは季節終盤の最終値下げ価格。カシミヤの生産過程では第三者機関の検査を実施している。カシミヤ混については混合率をタグに明記している」
財形新聞: 2018年5月28日 11:35
https://www.zaikei.co.jp/article/20180528/444253.html
世界へ進出しているユニクロの店舗数や販売実績を考えると、大量生産でよりやすく商品を生産できるのは事実でしょう。ただし私は買いたいと思ったことはありません。
素人には本物のカシミヤ製品を見分けられない
紹介した記事や動画で触れられていましたが、カシミヤヤギの毛に似ている牛の「ヤク」の毛を加工して素材にしたり、羊毛を加工してカシミヤに似せた感触にした「カシミヤ100%」の嘘の表示が付いた製品が出回っており、素人に見分けるのは不可能でしょう。アパレル関係の仕事をしている私の叔父も「無理だろう」と言っていました。
しかし叔父は「信用できる会社の商品を触った上で買えば、偽物を買う可能性はかなり減らせるはずだ」とも言っていました。
そこでカシミヤ製品を作っている会社を調べてみたところ特に信用できそうな「深喜毛織株式会社」がありました。HPには「カシミヤのフカキ」と記載しており、相当な自信です。
明治20年創業の深喜毛織
深喜毛織は明治20年(西暦1887年)創業の会社で、農業の傍ら、副業として「真田紐」の製造をはじめたことが始まった会社です。とても歴史のある会社ですね。
「真田紐」といえば、とても丈夫で有名です。更に2016年のNHKの大河ドラマ「真田丸」の中で、真田昌幸、繁之親子が作っていたシーンもありました。ちなみに「真田紐」は真田家が発案したという俗説がありますが、根拠薄弱なので、多分関係ないでしょう。
昭和5年からカシミヤ製品製造
真田紐などの綿織物に始まったフカキですが、その後綿毛布を作りはじめて「製織業」をはじめます。そして現在フカキの代名詞ともなっている「カシミヤ」製品を昭和5年(1930年)から製造しはじめました。
日本で唯一CCMIに加盟している会社
フカキは、世界で17社しか加盟していない天然素材の品質向上を目的とした国際団体であるCCMI(CASHMERE AND CAMEL HAIR MANUFACTURERS INSTITUTEの頭文字)に加盟している会社です。CCMIとは、本物のカシミヤやキャメル素材を使った製品の価値を保持する目的に、1984年に設立された団体です。
フカキのカシミヤ製品がしっかり認められている証拠ですね。
すべて自社で行う一貫製造
フカキは、カシミヤの糸の原材料である原毛の入手からその染色、紡織などすべてを自社でおこなっている日本国内唯一の会社です。
カシミヤの糸を作り、その糸で仕上げたニットを後から染める方が低コストですが、ニットを編み上げる前に染めることでカシミヤの質を落とさず、丈夫な製品が仕上がります。ここまでのこだわりの末に出来上がった製品をフカキは販売しているのです。
更に詳しいことを知りたい人はフカキさんのHPへ
フカキのカタログ請求(2020/1/18追記)
実はカシミヤの偽物問題が報道されたころにフカキの存在を知ってカタログを請求しており、使っているものが傷んで買い替えのときに注文しようと思っていました。
しかし持っているマフラーがなかなか丈夫で傷まず、去年のシーズン終わり頃にようやく?糸が少しほつれ始めたので今年買い換える予定だったのです。
セール案内や創業祭の案内も届く
一度カタログ請求したおかげで毎年秋になるとカタログが届くようになった上、セールの案内なども届くようになっていました。しかしセールはお店に行かなくてはいけません。場所は泉大津(いずみおおつ)という私の知らない土地な上、かなり遠いので諦めていました。
しかし今回は会場が大阪市内だったので足を伸ばして「創業祭」に行ってきました。
カタログ通販終了
残念ながら、フカキのカタログ販売は廃止になりました。今まで利用していた人もいたでしょうから、残念です。詳しいことはフカキのHPで確認してください。
創業祭へ
というわけで、創業祭に行ってきました。入れるのは招待客だけで、届いた封筒を手渡して会場内へ入場。写真を撮れるような雰囲気ではなかったので無し。許可をもらって一枚くらい撮らせてもらえば良かったかしら?
中へ入ると、コート以外は商品見本を触ったり見たりしたあとに欲しいものがあれば、袋に入っている商品を選べるようになっていました。いろんな人が触りまくったものを買わなくて良いのはいいですね。
カシミヤのコートはもちろん、セーター、カーディガン、マフラーや手袋など様々なものがありました。少しでしたが、ウール製品も。でも私は目的の母に頼まれていたマフラー2本と私用のマフラーだけを買って帰宅。色違いがどうしても欲しくなってしまったのです。
マフラーは一番ベーシックなものを購入。一つ8,500円(税別)でした。
肌触りもよく色も気に入っています。合計金額が3万円以上で10%割引になり、嬉しかった。
一つ開封。冬は黒っぽくなりがちなので明るいベージュカラーのオイスターにしました。縫い付けてあるタグにしっかり「FUKAKI」「MADE IN JAPAN」とあります。このタグは両端がしっかり縫ってあるので残します(タグは四つ角縫いのときだけ外す主義です)
深喜毛織のカタログ請求をしてみたいと思った人はこちらをどうぞ。(カタログ通販は終了しました)
http://www.fukaki.co.jp/catalog/
詳細はこちらで確認してください。
深喜毛織完全監修のお店「Cashmee(カシュミー)」
カタログ通販終了だなんてとショックです。でもフカキのマフラーがどこかで売られていないかと調べてみたら、楽天市場の中に「Cashmee」というお店を発見。
このお店の会社概要を見たら「深喜毛織株式会社」とあったので、HP内を調べてみると、「Cashmee(カシュミー)」は深喜毛織完全監修のカシミヤ専門店だとわかりました。
お店でざっと商品を見たら素敵な品揃えでした。ただし商品ラベルは「Cashmee」で「FUKAKI」ではありません。でも私は確実に本物の「FUKAKI」マフラーを持っていますから、比較できます。なのでマフラーがくたびれてくるか、あるいは別の色が欲しくなったら、今後はこのお店で買おうを思います。その時には品質比べっこしますね。
偽装カシミヤ撲滅へ(2020/6/18追記)
日本のNITEが発案したカシミヤなどの獣毛鑑別法が国際標準規格となり、世界で採用される流れになりました。これで偽物を買わされる確率が減ります。素晴らしい。
詳細は個別記事をどうぞ
最後にひとこと
まさか大阪市内でフカキのカシミヤ製品を触って確認してから買えると思っていなかったので嬉しかったです。1月にはセールがあるそうなのでそれも行けたらいいな。