家が片付いていることが、結果的に命を守ることになる。「そりゃそうだろ」と思ってはいましたが、元自衛官の言葉として聞いたら、自分の片付けでは死ぬと思いました。この本は一度は読んでほしい。
訓練「台風」
この本を買おうと思ったきっかけは、アマゾンアンリミテッドでの「立ち読み」です。公開されている内容なので、ここで少し触れておきます。
周囲を常に清潔に保ち、整理整頓しておくことは、自衛隊においては生き残りに直結します。有事の際には必要なものを瞬時に取り出せなければなりません。
中略
たとえば、定期的の行われる「台風」という訓練では、教官が部屋に入ってきて、ロッカーの中身をぶちまけたりベッドをぐちゃぐちゃにしたりして散らかします。そしてその際に、こっそりその部屋にあったものを持ち去るのです。部屋に戻った私たちは片付けをしながら何が持ち出されたのかを確認し教官に伝えなければなりません。
後略
自衛隊式片づけ術 生き残りたければ片づけろ! 畠山大樹より
このくだりを読んだ瞬間、無理と思いました。恥ずかしながら私の部屋はまだまだ物が多い。何が持ち出されたかなんて、絶対に把握できない。
紛失が許されない自衛隊
私はこの本を読むまで「1発くらいなくなることもあるだろう」的な甘い考えでした。しかし、実弾1発、装備品の部品一つなくても命に関わる。だから時々「銃弾が1つ紛失した」とうニュースが流れ、大騒ぎになるのだと初めて実感したのです。
片付けの重要性を知る新しい視点
ぶっちゃけ、今まで色々な片付けの本を読みました。
有名どころではやましたひでこ氏の「断捨離」、近藤麻理恵氏の「人生がときめく魔法の片付け」はじめ、他にも金子由紀子氏の「持たない暮らし」など本当に色々あります。しかしそれでもまだ片付いてると堂々と人に言えません。納得できていません。だから今でもなんども読み返しています。
これらの本は私を片付けに書き立てる言葉がたくさん載っています。女性らしい柔らかい表現をすると「人生を輝かせるため」「運気をあげるため」「前向きになるため」「リセットするため」といったところでしょうか。
命を守るという視点
しかし元自衛隊員さんの書いたこの本は違います。片付けイコール「命を守る」です。この視点、私にはとても新しく、そしてこれこそが一番の目的にすべきと思いました。
日本は災害の多い国です。最近だと熊本地震、東日本大震災、阪神大震災などがありました。それらの特集を見ると、大抵、家具や物に挟まって逃げられなくて亡くなった人がいたということや、逃げようと思っても物が邪魔になり逃げられなくて危うく死にかけた人の話が出てきます。
避難経路に物を置いていなかったら、片付けていたら。そんな思いをしないように片付けようと心に強く思いました。
片付けを教える授業を
日本の学校では「掃除の時間」があります。「掃除」をすることで清潔にすることを学べます。しかし「片付け」の授業はありません。
私たちは、地震の起こる日本に住んでいます。移住でもしない限り、その災害から逃れることはできません。逃げられないのなら、せめて命を守る方法、命が助かる可能性を増やすことを学ぶべきです。
きっとアレルギーを起こす先生だらけで実現不可能でしょうが、元自衛隊員さんの書いたこの「自衛隊式片づけ術」を参考に、子供達に「片づけ」指導をしてくれたらいいのにと思います。
自衛隊式片づけ術の概要
本の売れ行きに影響しない範囲で、中身のご紹介。
この本は前書きからスタートし、6つのステップ「STEP 0」では目標とする部屋のイメージを学び、「STEP 1」では、捨てること、「STEP2」では、収納・整理整頓術、「STEP3」では清掃術、「STEP4」では、維持・メンテナンスについて、「STEP5」ではサバイバル、片づけ術に至り、最後には、Q&Aがあります。
「不要なものは捨てる」ということや「収納・整理整頓術」などは、基本なので目新しくはありません。しかし時折混じる「ノウハウ」がいい味を出しています。それらは是非本で確認してください。
個人的にやはり「STEP5」のサバイバル、片づけ術が一番重要だと感じますし、「究極の目的は災害に備えること」と著者も言い切っています。自衛官として働いていた著者の言葉は重い。
この本はアマゾンアンリミテッドの会員であれば無料で読めます。是非どうぞ。私は手元にほしいと思ったので現物を購入しました。
最後にひとこと
本当に必要なものを選び抜くってのが大変ですが、命を守るためにもっと片付けようと思います。