久しぶりに一目惚れの衝動買いをしちゃいました。梅干しなどの漬物容器として有名なあの常滑焼の小さいサイズをホームセンターで見つけたのです。というわけで、紹介します。
漬物容器といえばあの茶色い「常滑焼」の甕(かめ)
誰もが一度は見たことがあるだろう「常滑焼」の甕(かめ)。我が家には大きめと小さめの二つあります。大きい方は重くて母と私でも移動させるだけでも大変になったため、今では倉庫の中で眠っています。小さい方は、その年つけた梅干しを寝かせる用の甕として使っています。写真は昨年着けた梅干しが入っている常滑焼の甕。
それにしても・・・中に美味しい漬物が入ってそう・・・と思わせてくれる常滑焼の風情は、漬物容器としてぬきんでていると思います。しかしこの「常滑焼」は歴史がある焼物なのに、一番の老舗である「久松(きゅうまつ)」という窯元が製造をやめてしまい、国産のものは手に入りにくくなりました。
そこで今回は日本の六大焼き物と「久松」廃業について触れておきます。
日本六古窯(にほんろくこよう)
日本には古くは縄文時代から続いている焼物があり、それらは日本六古窯(にほんろくこよう)と呼ばれています。そしてその古窯は「瀬戸、常滑、信楽、備前、丹波、越前」の六つです。
どれも聞いたことのある地名ですし、地名だけで招き猫や例のたぬきなどが浮かびます。それぞれの特徴を挙げていきましょう。
常滑焼(とこなめやき)
まずは今回とりあげる「常滑焼」から。広辞苑より引用します。
「常滑市を中心にその付近一帯で作られる炻器(せっき)質の陶器。草創は平安末期で、中世には甕(かめ)、壺・鉢を量産。江戸後期からは茶器も焼き、明治以降は急須などの朱泥製品で知られる。土管やタイル・植木鉢なども産出。とこなべやき。」(広辞苑より)
瀬戸焼(せとやき)
つづいて「瀬戸焼」です。こちらも広辞苑から引用します。
「愛知県瀬戸市およびその付近から産出する陶磁器の総称。平安中期頃から灰釉(かいゆう)陶器を焼成したが、鎌倉時代に加藤景正(初代藤四郎)が宋に渡って陶法を伝来し、瀬戸焼きを開いたと伝える。この時代には灰釉(はいぐすり)のほか飴色の釉(うわぐすり)を、室町時代には天目釉(てんもくゆう)を多く用いた。江戸時代中頃に衰退したのち、文化(1804〜1818)年間、加藤民吉が肥前に赴き磁器の製法を将来。以後、陶器に代わって磁器が瀬戸焼の主流を占め、再び活気を呈した。なお、近世には美濃南東部でやかれたものを含めて瀬戸焼と呼んだ。せともの。せと。」(広辞苑より)
信楽焼(しがらきやき)
例のたぬきの「信楽焼」です。
「信楽地方から産出する陶器。鎌倉時代に常滑焼の影響のもとに開窯し、壺・摺鉢(すりばち)・甕(かめ)などの雑記を製出。室町後期に及んで茶道具として用いられ、茶陶を焼いて賞翫される。」(広辞苑より)
*賞玩(しょうがん)1.めでもてあそぶこと。珍重すること。2.あじわうこと。賞味すること。3.尊重すること。
備前焼(びぜんやき)
岡山県備前市伊部(いんべ)一帯で12世紀頃から作られる焼締めの炻器(せっき)。多くは赤褐色で無釉。伊部焼。」(広辞苑より)
丹波焼(たんばやき)
「兵庫県篠山市(旧丹波国多紀郡)今田(こんだ)町地方から産出する陶器。平安時代末期に常滑焼系の一窯として開かれ、壺・甕などの実用具を焼成。桃山時代には優れた茶器を製作した。」(広辞苑より)
越前焼(えちぜんやき)
こちらは手元の広辞苑に記載がなかったので、ブリタニカ国際大百科事典から引用します。
「福井県中北部の越前町を中心に生産される陶器。鎌倉・室町時代に、常滑焼の影響のもとに焼かれた高火度の無釉陶器で日本六古窯のひとつ。古窯址(こようし)は100基ほど確認されており、製品の供給先はおもに北陸地方であった。陶土(とうど)は鉄分を含み、表面に灰褐色を施し、輪積み手法を用いる。」
それぞれ説明を調べてみると「常滑焼」の影響は大きいのだとわかりました。
常滑焼の甕と言えば久松(きゅうまつ)
日本製の良い製品を作っていても、需要の低下、安価な中国製の大量生産には勝てず、梅干しなど漬物を保存するのにぴったりの甕を焼いてくれていた「久松(きゅうまつ)」は2013年に倒産しました。
廃業の理由
当時、梅干しを作る人が増えないことや、安価な中国製などのせいで廃業にいたったと朧げに覚えていました。
しかし今回取り上げるにあたり、ソースはないかと探したらインターネットアーカイブにあったのでスクリーンショットで掲載しておきます。非常に残念です。
リーマンショック、東日本大震災なども影響していたのですね。
日本で古来から愛されている甕を守れなかったのはなんとも情けない話だなと今更ながら感じます。当時、「久松」が倒産してあの甕が手に入らなくなるのかと驚いた記憶が蘇ります。我が家には既に二つあったので買い足すことはなかったのですが・・・。本当に残念なことです。
久松の常滑焼の見分け方
我が家にある甕は久松だろうと思っていたのですが、偽物もあるそうで不安になりました。
そこで本物かどうかを調べるには甕の底に「久松」と刻まれているかを見ればいいと判ったので、持ち上げてカメラを差し込んで写真を撮ってみたら「刻印」がありました!ついでにサイズも3と刻まれていました。きっと倉庫の中のものも「久松」だと思います。
今では手に入らなくなった「久松」の常滑焼の甕。末長く大切にしたいと思います。
常滑焼の魅力は愛され続ける
久松の作っていた「常滑焼」はとても質が良く、「ヒビ」が入ってくることもないそうです。そんな貴重な甕なのに、もう作られていませんから、今家にある「久松」はとてつもないお宝。
今回買った小さな常滑焼の容器は、久松のものではありませんが、見た目の素朴な愛らしさが私は好きです。なので、小さな「常滑焼」の保存容器を見つけたとき衝動買いしちゃいました。
小さな「常滑焼」も今ある「常滑焼」の甕と同じく大切にしたいと思います。
特選常滑焼1合(180ml)(日本製)
では一目惚れした小さな「常滑焼」をご覧いただきます。まずは箱から。
裏。サイズは1合(180ml)と記載されています。
出しました。
単体で一枚。源窯というところが作っているようです。
蓋を開けました。
底にシール。日本製とあります。
洗って乾かしてから、自家製の梅干しを入れました。いい感じ。
サイズ感がわかるように「フリスク」と。
使ってみた感想
食事のときに一緒に出したら、父も母も可愛いと喜んでくれました。そして私も前より梅干しを前より食べています。普通の瓶や小皿に入れたものよりも食べたくなってしまう。不思議。
多分同じもの。
最後にひとこと
梅干しは日本古来の漬物で、殺菌力もあるし疲労回復にも良いスーパーフードです。自分でも簡単に着けられます。私でもできました。最近は食べる人が減っているというのも残念です。もっと食べられて欲しい。そしてそのお供として常滑焼の甕を使ってみてほしいです。