季節の変わり目になると、エアコンを掃除する人が増えます。しかしその際に誤った方法で掃除した結果、火災が起きています。注意喚起のために取り上げます。
誤った洗浄方法でエアコン火災
まずはソースをどうぞ。
誤ったエアコン洗浄で火災、5年間で20件 NITEが注意喚起 消毒用アルコールや漂白剤もダメ
「エアコンの内部洗浄は方法を誤ると危険な事故に至るおそれがある。正しい知識を持った業者に依頼してほしい」。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は6月25日、夏に使用機会の増えるエアコンについて、こう注意喚起した。
NITEに集まる製品事故情報のうち、エアコンに関するものは2019年度までの5年間に合計263件。このうち火災事故は244件で、誤った内部洗浄方法が原因と判明したものが20件だった。洗浄時に内部配線の端子部分に洗浄液が付着し、通電時にトラッキング現象が発生して出火に至った例が報告されている。
NITEによると、新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増え、身の回りのものを清潔に保とうという機運も高まっているという。人との接触を避ける意味でも自分でエアコンの洗浄をするケースが増えると予想している。
また新型コロナウイルス対策として物品の消毒に使う高濃度アルコールなど可燃性の溶液、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)など腐食性のある溶液もエアコン内部の洗浄には適さない。NITEでは、発火や破損につながるおそれがあるとして使用をやめるように呼びかけている。
ITmedia:2020年06月25日 21時33分 公開
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2006/25/news150.html
エアコン専用のもの以外で掃除しようと思ったことすらなかったのですが、やはり専用が安心ですね。というか、基本的にフィルター掃除しかしたことないんですが。
NITEによる詳しい注意勧告はこちら。さらに詳しい情報があります。
エアコン火災の様子
NITEの公開している火災再現実験動画(2分弱)があります。ご覧下さい。
エアコン内部洗浄の注意点
専用の洗浄剤を使うことは当然ながら、洗浄方法もいい加減だと危険ですね。NITEのサイトで内部洗浄に関する注意点が公開されていたのでご紹介します。
消毒用アルコールなどの揮発性の溶液を使用しないでください内部配線や電気部品が劣化していた場合、機器内部でスパークが発生し、揮発して生じたガスに引火するおそれがあります。
○次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)などの腐食性のある溶液を使用しないでください内部配線を劣化させたり、金属部品を腐食させたりすることにより、機器の破損や発火に至るおそれがあります。
○高温高圧スチームでの洗浄を行わないでください圧力や高温で樹脂部品を損傷させ、損傷した部分から基板などに洗浄液が浸入したり、水分やゴミなどが付着し、トラッキング現象が生じるおそれがあります。
○洗浄後はすすぎを必要とする場合があります すすぎを行わないと汚れが排水経路に詰まります。詰まりにより内部に水分が残り、腐食やトラッキング現象などに至るおそれがあります。 また、露皿割れ(ケミカルアタック)による水漏れが発生する事象などもあります。 どのような洗浄においてすすぎを必要とするかは製造事業者などの専門知識を有する事業者にご相談ください。
https://www.nite.go.jp/data/000111239.pdf
感染症対策として他人を家に呼ばない人が増えているでしょうから、エアコン掃除も自分でやる人が増えていると思います。
しかしエアコンはフィルターの掃除程度にしておいて、内部の洗浄は専門業者が一番安全です。火災になっては元も子もありません。
エアコン火災の原因はいろいろ
NITEによると、エアコンの事故発生件数は2015年から2019年までの5年間で263件ありました。そのうちの244件が火災で、全体の92%です。
エアコンの洗浄方法が原因だと判明したものは20件で、比率にすると約0.8%です。しかし他の火災原因が気になったので調べました。
電源コードの継ぎ足しで火災
エアコンの電源ケーブルが短く、継ぎ足した部分から発火している事例。動画はこちら。
【動画の解説】
コンセントの形が合わない、長さが足りないなどの理由でエアコンの電源コードを継ぎ足し(ねじり)接続したことにより、火災に至る事故が発生しています。素人修理は重大な事故に繋がることがありますので、絶対に行わないでください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/01220101.html
この動画はコードの継ぎ足し接続による火災ですが、電源タップをかませたせいで火災が起きた事例も報告されています。
消費電力の大きいエアコンの電源は、間に何もかまさず直接コンセントに接続するようにしましょう。
ねじり接続で発火
ケーブルが足りない、形状があわないとして素人がケーブルをねじり接続して火災がおきています。
【動画の解説】
コンセントの形が合わない、長さが足りないなどの理由でエアコンの電源コードを継ぎ足し(ねじり)接続したことにより、火災に至る事故が発生しています。素人修理は重大な事故に繋がることがありますので、絶対に行わないでください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1251.html
電気工事の失敗は火災へ直結しますから、素人工事は絶対にやめましょう。
室内機と室外機への途中接続で発火
エアコンから室外機までの電源ケーブルが届かないからと途中接続すると異常発熱して火災が起きています。
【動画の解説】
エアコンの室内機と室外機を接続する室内外ユニット間配線は途中接続をしないでください。接続部分が異常発熱して、発火するおそれがあります。施工にあたっては十分に注意してください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/18062801.html
エアコンの設置はほぼ業者が行うと思うので、これは施工業者の問題だと思うのですが、こういうことをされないように設置の際には注意して見ておいたほうがいいですね。
害虫の侵入で発火
とてもおぞましいですが、ゴキブリなどの害虫がエアコン本体や室外機に侵入して火災原因を作ることもあるそうです。(動画はイラスト)
【動画の解説】
害虫などが電気製品の内部に侵入すると、電気部品の集中している箇所でショートやトラッキング現象を引き起こすことがあります。使用にあたっては十分に注意してください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/170824.html
中にあいつが入ることがあると知っただけで発狂物です。害虫が入らないように配管まわりにはブラックキャップなどの駆除剤をおいたほうがいいかもしれませんね。
外火による室外機火災
エアコンの室外機付近に燃えやすいものを置いてはいけません。
【動画解説】
製品内部からでなく、製品の外側から火が点いて火災になる事故が毎年報告されています。可燃物を近くに設置しない、火の始末は完全に行うなど、使用にあたっては十分に注意してください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/190627.html
動画は、室外機のそばに新聞やダンボールを置いていたために火災が起こる事例を再現しています。室外機のそばで花火をして火が飛んだり、置かれているペットボトルのレンズ効果でダンボールに焦げができるなどいろいろです。
他に吸い殻を紙類の入ったゴミ袋に入れてしまうものもありましたが、これはさすがに頭おかしい事例だと思いますが、人間とはうっかりする生き物です。誰でも「無意識に」やってしまう可能性があるので注意しようと思います。
動画の最後に、室外機が燃えはじめて「ドカン」と吹っ飛ぶ映像があります。かなり激しい様子で、隣家にも燃え移りかねません。室外機火災にならないよう注意しましょう。
最後にひとこと
エアコンがフル稼働になる季節、火災には注意しましょう。