韓国のメディアSBSが、亜鉛の精錬工場「石浦製錬所」から垂れ流された汚水により地下水から基準値の3万7000倍のカドミウムが検出されたと報道しました。知るきっかけになったのは、政治知新さんの記事です。排出された汚水により、魚が大量死している上、鳥も死んでいます。汚水は当然ながら海にも流れ込むので、日本にも影響を及ぼしそうでとても心配なので、汚染問題を引き起こしている「石浦精錬所」や日本のカドミウム基準値などについて調べました。
地下水からカドミウム、クロム、水銀検出
まずはソースから。しかしソースはyoutubeに公開されている韓国メディアSBSの動画です。ハングルがわからないので翻訳できませんが、映像だけでも伝えようとしていることはわかります。
想像以上に酷い有様です。動画から一部を切り抜きました。ニュース冒頭。
問題となっている石浦精錬所。
続いて、多量の魚の死骸。川の汚染の酷さを物語っています。
鳥も死んでいます。
石浦精錬所について
酷い地下水汚染をしている「石浦精錬所」について調べてみたところ、韓国には「Korea Zinc」という世界最大の亜鉛精錬会社があり、「石浦精錬所」は「Korea Zinc」社の親会社である「永豊(Young Poon)社」の管理している精錬所でした。
その「石浦精錬所」は、2014年に工場周辺の住民が被害を訴え、韓国の国会で取り上げられるに至り、現地調査を重ねたところ、2015年末には土壌汚染が確認されたとして、「土壌回復」命令を出しました。
しかし、石浦精錬所側は、土壌回復するには工場の閉鎖が必要でその費用を捻出できないとし、汚染拡大の防止に努め、自主点検しそれを報告するだけにとどまり、根本解決を避けています。その上、自主点検・報告をするようになっても違法行為があり、その告発のたびに自治体へ罰金を払ってお茶を濁している状態です。このことから、石浦精錬所は「環境汚染問題」を本気で解決する気がないことが伺えます。
2016年頃からは周辺住民だけでなく、工場周辺に生息する魚や動物への影響があるとして、環境保護団体なども工場閉鎖を訴える活動を開始しました。しかし、工場関係者も一部の政府関係機関は、周辺の環境汚染との因果関係はないと否定しています。
石浦精錬所の環境汚染問題については、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構)の金属資源情報で取り上げられていたので勉強できました。さらに詳しく知りたい人はどうぞ。
カドミウムとは
カドミウムは、1817年にドイツの化学者シュトローマイヤーが発見した物質です。単独では存在しておらず、亜鉛鉱物に含まれており、亜鉛の精錬の副産物として得られます。その毒性が明らかになるまでは、その防錆力はメッキ剤として重宝されていました。今でも一部では使用されている物質です。
今回問題となっている韓国のカドミウムは前述した通り、亜鉛精錬の過程で発生したものです。亜鉛の原材料である閃亜鉛鉱(せんあえんこう)に含まれているカドミウムは、の過程において取り除き、その処理をする必要があります。
しかしカドミウムの処理は難しく、こういってはなんですが、お金も時間もかけたくない、利益最優先な韓国ではおざなりな処理を行っているのは間違いないでしょう。
カドミウムの毒性
カドミウムを摂取した場合は腎臓に蓄積して、骨の病(骨軟化症や骨粗鬆症)を引き起こしたり、肺気腫や肝障害を起こします。
ちなみに骨軟化症と骨粗鬆症は別物で、簡単に説明すると「骨軟化症」は、骨を構成する細胞「類骨(るいこつ)」の比率が増えて、骨が柔らかく弱くなる症状で、「骨粗鬆症」は骨密度が低下する症状です。
富山県で発生した寝返りを打っただけでも骨折するという強烈な痛みに襲われる公害病「イタイイタイ病」の原因は「カドミウム」とされており、基準値が制定されています。そんなカドミウムは、実は鉱物や土壌に普通にある存在で、私たちも日常的に食べています。
ちなみに今回初めて知りましたが、カドミウム摂取が原因で起こるとされている「イタイイタイ病」は日本の富山県でしか発生しておらず、「カドミウム」原因説を否定する意見もあり、実に興味深い。今後似たような病が発生するとも限りませんから、原因究明を続けて欲しい。
カドミウムを含む食べ物
土壌に含まれていることから、お米からの摂取が一番多いだろうとされています。しかしながら、現在の日本において「イタイイタイ病」を発症する人はいません。それは、明らかなカドミウム汚染のある土壌で作られているお米が流通していないことと、お米に関しては基準値があり、しっかり管理されているからです。
カドミウムが含まれているのは、お米だけではありません。海水などにも含まれているため、そこで生息している貝類やイカ、タコ、さらにカニやエビなどの甲殻類にもあります。実際、日本から輸入したほたてから基準値を超える「カドミウム」が含まれていたとして韓国で騒ぎがあったこともあります。ソースはこちら。
韓国で日本産ホタテ回収、基準値を超えるカドミウム検出=韓国ネットに不安広がる
2018年7月11日、韓国・聯合ニュースによると、韓国の食品医薬品安全処は、食品輸入販売会社のホンジュ水産が日本から輸入した活ホタテから基準値を超えるカドミウムが検出されたと発表した。
食品医薬品安全処によると、カドミウムの含有量基準値は1キログラム当たり2.0ミリグラムだが、問題の活ホタテからは2.5ミリグラムが検出された。現在、販売中止の措置をとると共に、回収作業を進めている。回収対象は輸入日が18年6月7日のものという。
急性カドミウム中毒になると、吐き気や嘔吐、頭痛、筋肉痛などの症状が現れる。
この報道に、韓国のネットユーザーからは「不安で海鮮が食べられない」「この国には安心して食べられるものがない」「韓国も海に囲まれているのに、なぜわざわざ日本産を輸入する必要がある?」「こういう悪徳業者のせいで、しばらくの間ホタテが売れなくなる」など不安の声が寄せられている。
また「全ての日本産水産物の輸入を禁止してほしい」「輸入業者を逮捕して」などと訴える声も上がっている。(翻訳・編集/堂本)レコードチャイナ:配信日時:2018年7月13日(金) 10時50分
https://www.recordchina.co.jp/b624900-s0-c30-d0058.html
カドミウムの基準値
韓国ではカドミウムの基準値があるので騒ぎになってしまいました。というのも、国際基準には貝類のカドミウム基準値があるものの「ほたて」「かき」にはありません。そして日本独自のカドミウムの基準値には、水とお米にしかありません。
お米と水以外の基準値がない理由は、日本の食生活における一般的な食生活では健康を害するほどのカドミウム摂取のリスクは低いと考えているからです。
ちなみに食品ではありませんが、タバコにもカドミウムは含まれており、一本あたり約1~2μgを肺に吸い込んでいることになります。喫煙者は少し考えた方が良いかも。禁煙させたい人に「カドミウム」入ってるよと言ったら止めてくれるかしら。
さらに詳しくはカドミウムについて厚生労働省が公開している『「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A』をどうぞ。
話を戻しますが、日本産のほたてからカドミウムが検出されたと韓国で騒ぎになっていますが、個人的に本当に日本産だったのかと疑っています。というのも、韓国では2010年に、たこから基準値を超えるカドミウムが検出されたとして騒ぎになったものの、実は中国産のたこを国内産(韓国)として産地偽装していた事件があったからです。ソースはこちら。
カドミウム超過検出のタコは中国産、販売業者を逮捕
【ソウル19日聯合ニュース】ソウル市が先月、テナガダコ(韓国語でナクチ)の頭部から基準値を超えるカドミウムが検出されたと発表したことと関連し、当時実験に使われたタコが中国産だったことが最終的に確認された。
検察と裁判所が19日に明らかにしたところによると、ソウル南部地検は原産地を偽りタコを販売した容疑で、水産物販売業者2人を逮捕した。2人はタコが国内産でないことを知りながら、偽の証明書をスーパーに提出し営業した疑いをもたれている。
ソウル市は先月13日、市内の大型スーパーに入店する同業者からタコを購入し実験した結果、墨と内臓から基準を超えるカドミウムが検出されたとし、摂取を控えるよう呼びかけていた。実験に使われたタコが国内産ではなく中国産だったとの疑惑が提起されたことから、検察が捜査にあたっていた。聯合ニュース:2010.10.19 10:27
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20101019000800882?section=search
あくまでも私の憶測ですが、韓国で売られているものに関しては生産地はあてにしてはいけない気がします。
韓国の土壌汚染
当サイトでは韓国の海の汚染や土壌汚染についてずっと取り上げていました。よく読まれているのは発がん性物質に汚染された韓国のりの記事がありますが、他にも深刻だと思っていたのは土壌汚染問題です。今回のカドミウムによる地下水汚染の報道でそれは確信に変わりました。やはり韓国産の食品は農産物も海産物も危険だと断言します。
最後にひとこと
韓国産の食品は、農産物も海産物も避けるに越したことはないでしょう。