亀の鼻の穴にプラスチック製のストローが深く刺さって苦しんでいる姿はこちらも痛くなるような辛い映像でした。人間が便利に使っているプラスチック製のせいで海の生き物や動物たちが被害を被っているのはとても申し訳ない状況です。その現状を変えようと世界はプラスチック製のストローを止めようという動きになっています。しかし気になるのは代替品となる紙製のストローの「製造国」でした。すると日本製紙が国産の紙製ストローを製造し、販売すると発表していました。とても嬉しいニュースなので取り上げます。
日本製紙が国産の紙製ストローの販売開始
ますはソースをどうぞ。
紙製ストローの販売を開始~「紙化ソリューション」推進へ、機能性・安全性を追求した国産品~
2019年03月25日日本製紙株式会社
日本製紙株式会社(代表:馬城 文雄、以下「当社」)は、ストローを口にくわえたときに感じる”口当たりの良さ”をコンセプトにした紙製ストローを開発し、本年4月より販売を開始します。
近年、海洋プラスチックごみ問題がクローズアップされる中で、「再利用可能」「生分解性を有する」などの機能を持つ素材の一つとして、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」への関心が高まってきています。特にプラスチック製ストローが象徴的に取り上げられる中で、昨年夏以降、外食産業などで、紙製ストローなどへの切り替えの動きが加速しつつあります。
当社は、牛乳パックなどの飲料用紙容器をはじめ、紙カップ、包装用紙など、「紙」を素材とする製品を、食品・飲料など幅広い産業分野に供給しており、「紙でできることは紙で。」を合言葉に、社会の課題解決につながる「紙化ソリューション」を推進しています。紙製ストローの開発はその一環であり、お客様のニーズに応え、国産品の安心感をお届けしてまいります。
後略
紙製ストローの販売を開始|ニュースリリース|日本製紙グループ日本製紙グループのニュースリリースです。
飲み物を飲むためのストローはやはり安心して使える国産品が嬉しいので、ストローを使う業界は是非採用して欲しい。当面は受注生産ですが、消費者がどこの製造した、どこ製の紙製ストローか問い合わせることで日本製紙を応援できそうですね。
使い捨ての割り箸も中国製が多いですが、日本製がじわじわと増えています。需要があれば製造は増えます。店頭に日本製の紙ストローが出たら私は絶対買います。
紙の歴史
日本は紙文化の国です。文を書くための紙から髪の毛を縛る紙、色とりどりの折り紙、そして傘にも紙が使われています。そんな紙の起源やその歴史を調べました。
紙の起源は「パピルス」
太古の時代、人の記録は洞窟内の壁に刻まれたり、岩や石に刻まれていました。しかし「紙の起源」とされている古代エジプトの「パピルス」が登場し、広まりました。
「パピルス」は植物の名前で、その茎を裂いて並べて重ねてプレスして作るので非常に手間で高価なものでした。折ると簡単に裂けてしまう脆いものですが、当時は画期的な筆記用紙だったでしょうね。そんな「パピルス」はpaperの語源でもあります。
紙として使われていたのは「パピルス」以外に「羊皮紙」もあります。動物の皮に加工を施して作った「羊皮紙」は耐久性が高く、私たちの知っている「紙」が登場するまでは、「パピルス」と共に記録するための筆記具として長年使われていました。
最古の紙
私たちの知る定義の「紙」は、紀元前150年頃の中国から出土した「放馬灘紙(ほうばたんし)」が最古のもので、製法は後漢の官吏蔡倫が発明したと伝えられています。
その技術は、唐軍とアラブ軍が戦った「タラス川の戦い」で捕虜にされた中国人からアラビアへ、そしてヨーロッパへも12世紀半ばには伝わっていったと言われています。
日本への紙の伝来
「紙」という存在は中国の「論語」などの書物として既に日本に入って来ていましたが、紙を作る技術自体は、3世紀の卑弥呼の時代には既にあったという説や福井県で6世紀初頭には紙漉を行っていたという言い伝えがあったり、5、6世紀頃に仏教などと共に伝来したという説など複数あります。ちなみに時期のはっきりしている日本最古の紙は、正倉院に保管されている戸籍情報が記されていた和紙です。
蛇足ですが、年に1度奈良で行われる正倉院展に行くと様々な書物や調度品を見られるので是非一度行ってみて欲しい。私は「給料の前借りをお願いしたい」「父が病気なので休暇が欲しい」などと書かれた書類を見たことがありますが、昔から変わらない日本人の性格を垣間見れてとても楽しかったです。というか「こんな書類を残していたのかよ!」と思って笑いを堪えるのに難儀しました。
紙の歴史はとても情報が多く、wikipediaや紙の会社などの説明を読んでみるのをオススメします。個人的に単的で判りやすかった会社へのリンクを張っておきます。
日本での紙づくりの起源
日本の紙作りの起源には複数の説がある[2]。大別すると、日本で自然に紙漉きが発生したとする説と、渡来人による伝来説になる[2]。いずれの場合でも、時期に関しても諸説あり、早いものでは3〜4世紀とするものからある[2]。
5世紀に入ると、日本で紙作りが始まったきっかけになっただろうと考えられる有力な記録が登場する[3]。『日本書紀』に拠れば、履中天皇4年(403年)に初めて国史(ふみひと)を配置して言事(ことわざ)によって様々な事柄の記録を始める、とあり、公権力によって紙による記録が始まり、紙作りの必要性が興ったと推測されている[3]。なお、この年代に関しては『古事記』とは数十年の齟齬がある[注 1][3]。
6世紀初頭には、福井県今立町(2005年に合併により越前市の一部)にて、紙漉きが始まったとする伝承がある。
紙(カミ)(paper)
日本へは7世紀初頭、桑の樹皮からつくられた紙を用いた写本が仏僧たちによってもたらされ、紙の知識が広まった。
ブリタニカ国際大百科事典より
日本の愛しい紙文化
日本に伝来した紙は初めこそ「筆記」のための道具でしたが、日本では「和紙」という独特の紙が生まれ、様々な形で愛される存在になりました。
文を記す紙だけでなく、和風建築の象徴とも言える「障子」が家の中を飾ったり、雨の降る日はその身体を濡らさない為の傘となったり、更には鶴などの美しい生き物の姿を作り出す折り紙として庶民の生活をも彩る存在となっていきました。
しかしその「紙」の汎用性の高さに加えて素晴らしいのは、紙はすべて再利用、リサイクルできることです。江戸時代の日本は超リサイクル社会で、「古紙回収業者」が破れた傘や古い書物を回収して燃やしたり、その灰も「灰買い業者」が買い取り、染物屋に材料として売ったり、肥料として農家に売ったりするなどして、何一つ捨てずに使うことを当たり前に行っていました。
日本の文化を語るとき、「紙」は切っても切れない関係なのです。
日本製紙の挑戦
日本製の紙製ストロー製造を知って見つけた特設サイトがありました。それは日本製紙の「紙でできることは紙で。」というページです。日本のあるべき姿だと感じました。
もっと評価されるべき「SPOPS(スポップス)」
紙化事例として、紙製の弁当箱やが紹介されていますが、私が目を見張った製品がありました。それはシャンプーボトルとして作られた紙製の差し替え容器「SPOPS(スポップス)」です。何が凄いって「詰め替え」でなく「差し替え」するだけでいいのです。紹介動画があったのでどうぞ。
2016年に発表されたもののようですが残念ながら実物を見たことがありません。世界初のアイテムなのにもったいない。もっと注目されていい。時代を先取りし過ぎたのか。でもこれに切り替えて欲しいと本当に思いますし、恐らく土に還らないプラスチックの問題に注目が集まりだしている今、きっとスタンダードになるはずです。
最後にひとこと
土に還る紙を長年愛して来た日本だからこそ、紙製品を大切にしたい。そして日本製の安心して使えるものが欲しいです。是非、国産の紙製ストローを市場に出して下さい。少々割高でも私は絶対に買います。