2016年2月3日、ロイター通信から出た「硫酸銅をまぶしたオリーブオイルが流通中」というニュースはオリーブオイル信者の心を砕いています。その後「イタリアのオリーブオイルの80%が偽物」というアメリカ発のニュースも出ましたが、日本国内のTV媒体の大手メディアでは全く見ていません。しかし昨夜放送されたバラエティ番組「林先生が驚く初耳学!」(TBS)でようやくオリーブオイルの問題点に触れてくれました。その書き起こしと感想です。
始まりは「硫酸銅をまぶしたオリーブオイルが流通中」という報道
日本は「国際オリーブオイル協会」に属していないため、日本では「偽オリーブオイル」が流通しても法的に問題はありません。その事実をようやくTVメディアがバラエティ番組「林先生が驚く初耳学!」(TBS系)で取り上げました。「オリーブオイル」の基礎知識や国際基準、流通している原因については以前の記事「【米発ニュース】イタリアのオリーブオイルの80%が偽物!?【食品偽装】」や「【食の安全】硫酸銅をまぶしたオリーブや偽オリーブオイルが流通中【本物を選ぶ方法】」で取り上げているので、良かったらお読み下さい。
「一言で話せるショート初耳学」に登場
偽物のオリーブオイルが流通しているという報道が出ても、私の記憶では、日本国内のメディアがその報道を伝えることはありませんでした。徹底的に無視していると思います。しかしようやくTVメディアに出てきました。取り上げられたのは、2016年7月17日放送の「林先生が驚く初耳学!」(TBS系)のワンコーナー「一言で話せるショート初耳学」でした。
NA
その美味しさは勿論、美容や健康面でも人気の「オリーブオイル」の問題。
林先生
オリーブオイルはけっこううるさいですよ。
NA
数ある商品の中でも高級とされるのが「エキストラバージンオリーブオイル」
NA
新鮮なオリーブを100%使用し、加熱殺菌や化学処理をしていないのが特徴で
NA
名乗れる基準は、EUが設立した「国際オリーブ協会」によって細かく定められています。
NA
そのため、普通の「オリーブオイル」より、2、3割高い値段で売られているのが一般的ですが・・・
NA
林先生が知らなかったら「初耳学」に認定です。
NA
日本の「エキストラバージンオリーブオイル」は、実は・・・
NA
「名乗り放題」
NA
普通のものより、2、3割高く売っている「エキストラバージン」は実は「名乗り放題!」
NA
さあ林先生知ってた?それとも初耳?
林先生
これ、くやしいな・・・。
大政絢
林先生が「初耳」だったので「初耳学」に認定です。
林先生
ほんと日本国内に流通しているいわゆる「エキストラバージンオリーブオイルと言われてるものが偽物が多いってことは知ってましたよ。もちろん。
すごく気をつけて買ってる。ただ、普通「エキストラバージンオリーブオイル」と言われるためには酸度が1%未満。で、精製はしない。ね、そういうことを全部知っていてなんで日本だけいいかという事情は・・・
そうかもう僕はいきなり向こうのいいものを買う癖があるから・・・そこまで見てなかったんだ。
NA
条件を満たしていない「オリーブオイル」も、日本では「エキストラバージン」を名乗っています。それは、生産国と日本、二つの事情があるのです。
NA
まず問題なのが、「オリーブオイル」を生産する海外の事情。
日本オリーブソムリエ協会 理事長多田俊哉さん
実のところはですね、エキストラバージンではないような質の悪いオイルが
「エキストラバージン」というそういうラベルをはって日本に入って来ていると。
NA
そう、一言で言うと
実は今、オリーブオイルの生産国ではコストの安いオイルを混ぜたような「エキストラバージン」の基準を満たしていない偽物が出回り、問題に。
NA
こうした商品が、少なからず日本にも輸入されているというのです。
NA
そして、名乗り放題となっているもう一つの理由は、日本の事情にありました。
日本オリーブソムリエ協会 理事長多田俊哉さん
そのまま日本にやってきて、
それが日本で、じゃあ国内法でなんらかの規制がかかるかというと、
それを規制する法律が日本にはありません。
NA
日本はオリーブオイルの生産量が少ないため、ヨーロッパの生産国のように「エキストラバージン」の品質基準を定める法律がありません。
林先生
そこか・・・
NA
そのため、生産国で基準を満たしていない商品が日本で「エキストラバージン」として売られても、法律上、問題はないのです。
NA
そこで頼りになるのが「味」と「香り」から「オリーブオイル」の品質を見極める事ができるのはオリーブオイルソムリエが居る専門店。
NA
身近な食材だからこそ、正しい知識と情報で、かしこく商品を選びましょう。
番組の感想
ようやく取り上げられました。それは素直に喜ばしいし良い事です。しかしやはりこれを「バラエティ」で取り上げるのはどうかと思います。
以前詳しく書いた記事にも書きましたが、現在、「値段が高い」から「本物」だとは限らない状況です。「正しい知識と情報で、かしこく商品を選びましょう。」と言われても、「正しい」と偽ったラベルを貼って売られている状況なのに一体どうしろと言うのか。結局、専門家の売るお店で買うしか「本物のオリーブオイル」を手に入れる手段は無いようです。
とは言え、専門店がそこらじゅうにある訳ではありませんよね。買いに行けるのは都心部に近いお住まいの人だけになります。それじゃちょっと一般消費者に優しくない締め方じゃないのさと思いました。
本物のオリーブオイルを買う方法
というわけで、番組内容に付け加えて私個人からの提案を一つ。
以前の記事でも申し上げましたが「本物のオリーブオイル」を手に入れたいなら、何らかの賞を受賞しているものを買ってみて下さい。もちろん「権威主義」は信用できない側面もあるのですが、歴史のある賞で不正をするとそれこそ大変な事になるので、偽オリーブオイルではない可能性が高いと思うからです。
それくらいしか、今の日本では対策がありません。と言いつつ、それを信用するかしないかははあなた次第・・・という残念な提案です。お役に立てなくてごめんなさい。
コンテスト受賞のオリーブオイル
コンテストの金賞を受賞しているならまだ信頼性が高そう。というわけで、ざっと検索で探してみました。参考程度にご覧下さい。
国内産のオリーブで作られたオリーブオイルもあります。
日本で開催されているオリーブジャパンというイベントで行われている「オリーブオイルコンテスト」というものがあります。このコンテストも参考にすると良さそう。
「オリーブジャパン」というイベントについて知りたい方は、公式サイト(オリーブジャパン)へどうぞ。
日本産オリーブで作られた日本製オリーブオイル
国際オリーブ協会に加盟していなくても、日本には小豆島があり、日本産のオリーブで作られたオリーブオイルもあります。国際基準なんてくそくらえな方はこっちでもいいと思います。今度私も買ってみようと思っています。
最後にひとこと
ようやく「偽オリーブオイル」情報が大手メディアに出てきました。しかし「バラエティ番組」です。惜しい。
偽物を放置している、偽物をどうにもできない状況なのですから、それこそ「報道」で取り上げて、メディアが「日本における基準を定めるか、国際オリーブ協会に加盟して基準を守るべき」だと警鐘を鳴らすべき案件ではないでしょうか。仕事してください「マスメディア」さん。広告主を守るために失われてしまう「自分たちへの信用」をもっと深刻に考えて下さい。そんなんじゃ誰も話を聞かなくなりますよ。お願いします。